妊娠中毒症とは

何らかの原因で妊婦の血圧が上昇し、浮腫(むくみ)や尿にタンパクが混じるなどの症状、さらに悪化すると、全身の痙攣(けいれん)が突然起こる場合や、脳出血や全身の血管内に血栓ができて内臓が障害されたりする危険な病態です。

以前は胎盤から出てくる毒素が原因といわれていましたが、その後、胎盤機能が低下して血圧を上げる物質の感受性が上がって高血圧を発症するという考え方に変わり、2005年に病気の名前が変更され、さまざまな障害を伴うことがあるので、現在は妊娠高血圧症候群と呼ばれるようになりました。
病態の解明はさらに進み、血圧を上げる物質とそれらを分解する物質(胎盤酵素)のバランスが崩れたことが原因であると考えられています。

治療ガイドラインでは上の血圧が140mmHgまたは下の血圧が90mmHgかそれを越えるときから高血圧と定義しており、現在、妊娠中の高血圧は妊婦の約1割に発症しているといわれています。
安全で有効な治療法がなく、分娩すると正常にもどることから、妊娠正期(妊娠37~42週)の前に帝王切開する場合が多く、そのため低出生体重児の割合が増えているのが現状です。

降圧薬には多くの種類がありますが、妊娠高血圧症候群に有効なものは少なく、また保険適応がないものや胎児に直接副作用を及ぼすものがあります。
薬の中には大量に投与したり長期間使ったりすると胎児は生まれてからも長い間副作用の影響を受けることがあります。
このため、これに代わる方法として安全な女性ホルモンを投与して血圧を下げることが可能です。
生体由来と同じホルモン剤を投与して、血圧を上げるアンジオテンシンという体内の物質を分解する酵素を産生させて降圧します。

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